-春-

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突然のことに呆然として黙り込んでいると、 「気が乗りませんか?」 と、彼に尋ねられた。 「そういうことではなくて……」 と、頭を横に振る。 「……なんだか夢みたいで、まだ少し信じられないだけで……」 素直な気持ちを口にすると、 「クリスマスシーズンはだいぶ先のことなので、その時までにあなたの気持ちが整えばと……」 頬が両手で挟まれて、私の気を落ち着かせるようにふっと柔らかく唇が寄せられた。 「それに、あなたがどうしても嫌なら、キャンセルをすればいいのですから」 「そんな……嫌になることなんてないです。ちょっと混乱をしてしまっただけなので、挙式を考えていただいてとっても嬉しく思っていますし、幸せです。ありがとうございます」 心に浮かぶ想いを言葉にして伝えると、彼は微笑んで、 「よかった。私も、とても幸せですよ」 もう一度、今度は少し長めに唇が重ねられた……。
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