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──ベッドで寝ていた私は、朝早くに彼に起こされて目を覚ました。
「……ん、先生、どうされたんですか?」
瞼をこすりながら枕の傍らに置いていたスマホの時計を覗くと、まだ朝の5時を過ぎた頃だった。
「こちらに来てみてください」
彼に手を引かれるまま窓辺に寄ると──
幻想的な白い靄のような雲海に覆われて、まるで天空に浮かんでいるかのように、小高い山の上に建つホーエンツォレルン城が、朝焼けの光に照り輝いていた──。
「…………。」
言葉もなく、絶景の美しさに目を見張る。
「……素晴らしいでしょう?」
彼の言葉に「ええ…」と頷いて返す。
「……おとぎの国のお城みたい」
「おとぎの国ですか、ではあの城には君のような姫がいるのかもしれませんね」
彼が微笑んで、私の身体を傍らへそっと抱き寄せる。
「なら一臣さんは、王子様ですね。昨日の挙式でのタキシード姿は、本物の王子様のようでした」
「…ふっ」と彼が小さく笑いを浮かべて、
「では、お手を、姫…」
と、私の手を取り、目の前にスッと片膝をついた。
跪いた姿で、おとぎ話の世界から抜け出してきたかのような端正な顔立ちでじっと見つめられて、
本当にお城の王子様にでも見初められたかのように、立ちすくんだまま身じろぎも出来ずにいると、
「愛しき姫に、私の永遠の愛を誓いましょう」
さながらおとぎ話の中の王子様のような優雅な所作で、私の手の甲にふっと口づけを落とした……。
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