第3章

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 久し振りに川原まで散歩に来たせいで、色々なことを思い出してしまう。このまま進めば、幼馴染のあの男の子の家も見えてきてしまうだろう。 「そろそろ帰るよ」  久し振りの散歩コースに、三太は満足気な表情だ。帰ってボール遊びをしなくても、きっとすぐに寝てくれるはずだ。来てよかったのだと、自分自身に言い聞かせた。 幼馴染の家や廃墟を避けるには、どうしても小学校の横を通らなくてはならない。そこは、勉強の他に「調子にのると痛い思いをする」という教訓を最初に与えてくれた場所でもあった。  あの子が私をいじめっ子達から守ってくれたのはただの正義感だったのだろう。なのにどうしてあんな勘違いをしてしまったのかと、今でも胸が痛くなる。  いや、勘違いしただけならまだ良かったのだ。  よりによって、何故あんな恥ずかしい行動に出てしまったのだろう。  小学四年の春、彼が学級委員に立候補するなり、気付けば自分も副委員になりたいと手を挙げていた。それまで、班長はおろか係りの長にもなろうとしたことなど無かったのに。特別目立たず過ごしていた私に、投票をしてくれるクラスメイトは殆どいなかった。あの時の後悔と恥ずかしさが、今でも全身に染みついていて離れない。その染みを更に濃くしてしまったのが、あの人と出逢った春だったのだ。
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