防衛本能

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防衛本能

  (どうしちゃったんだろう、俺)  今日もジェイはソファに横になっている。微熱が続いてはいるが、そこまで体調が悪いとは自分でも思えない。だが気怠い。食事をしたり、キッチンの片付けをしたり。店に出ているわけでもないのに、そんなことで疲れてしまう。ここ10日くらい、ソファにすぐ横になるのが当たり前のようになっていた。  時々蓮が店から上がってきて食事だなんだと持ってきてくれた。頭を撫でて優しい顔で「大丈夫か?」と聞かれ、「大丈夫」と答える。  寝込んだ最初の頃は店に出ようとした。その気もちゃんとあった。けれど今はただ疲れている。  友中先生のところには3度ほど行った。 「疲れが出てるのね。したことのない仕事に就いたんだもの、しょうがないのよ。お薬飲むのに抵抗があるのは分かるけどしばらくそうしましょう。大丈夫よ、落ち着いていくから。蓮さんの言うことをちゃんと聞いてね。大丈夫」  蓮は『店のことをしばらく忘れろ』と言った。 「でも」 「源ちゃんもしばらく来てくれるそうだ。眞喜ちゃんも忙しい時はキッチンに入ってくれている。みんなお前のことを心配してるよ。だからちゃんと体が戻ってから出ろ。すぐに休むんじゃみんながもっと心配するだろ?」  それから言われた通りにしているが、どんどん億劫になっていく自分がいる。 (怠けてる……) そう思う気持ちが強い。だから家事はするように努めているが、それでいっぱいいっぱいになってしまう。 (なんか……ダメ人間になってる気がする)  そんな時にお客さんが見舞いに来てくれた。その顔を見てパッと笑顔が出た。 「花さん! 哲平さん!」   
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