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「ただいま~」
「お邪魔します。」
相変わらず、広い玄関。俺の家とは大違いだ。
「あ、今日1日父さんも母さんも家いないのか。」
「ふーん、、、。」
と返事すると、英斗が振り返って目を細めた。
「かなたって、本当、、。」
「何だよ」
「いや、何でもない」
何もなくはないだろ。きっと、親がいなくて寂しくなったんだな。それならそうと素直に言えばいいのに、、、。
「ほら、座って座って」
「あ、うん」
何か、緊張する。俺は英斗の部屋を見渡した。相変わらず、物に執着がないっていうか、部屋のものは必要最低限のものしか置いていない。
ゲームが無ければ生きていけない俺とは大違いだ。
「ちょっとお茶とってくるね」
「おお」
英斗が部屋を出たのを確認すると、俺は深く溜め息をついた。緊張を紛らすためにカバンから課題を取りだしテーブルの上に広げる。しかし、集中力はすぐに切れてペン回しをして暇をつぶし始めた。
「はい、お茶」
視界に英斗の手が入ってきて、俺はハッとした。
「ありがと」
俺は、お茶を口に含んだ。麦茶の優しい味が心を落ち着かせて、スッキリする。隣で英斗は、スマホをいじり始めていた。
「また女?」
「そーだよ。」
「ふーん」
相変わらずぶれないな、コイツ。
「てかさ」
いきなり英斗が手を止め、ずいっと寄ってきた。
「英斗は興味ないの?女の子に」
「はあ?ねーよ」
ち、近い。俺は、サッと目をそらす。
「へぇ、、、。じゃあ男が好きとか?」
へ?
耳を疑う言葉。俺は、一気に冷や汗が出ていた。
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