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「はいデジャヴュー!痛ッ……!」
勢い良く起き上がって頭をぶつけた滝澤はのそりと虚から這い出る。騎士は変わらず鍛錬していた。
「えっと……確か……返し技寸止めして……」
「起きたかニンゲン」
騎士が剣を振る手を止めて滝澤に歩み寄る。
「俺は滝澤だ。そこらの人間とは違うぜ」
「ニンゲンは皆そう言うぞ」
早速出鼻をくじかれる滝澤。決まらないなこの男は。
「……そ、そういう意味じゃなくて。多分この世界で唯一、モンスターが嫌いじゃない男だ」
「珍しいやつだな」
「あれ、何その反応……!?」
この世界のニンゲンはモンスターが嫌いと聞いていただけに何故驚かないのか不思議で仕方がなかった。
「別にお前が特別ってわけではない。ほら、来たぞ……」
騎士が言うが早いか、滝澤に黒い影が飛びかかった。
「うおっ!?」
慌てて横に跳んだ滝澤は間一髪で攻撃を避けた。
「何故ニンゲンがいる……!答えろヴァンパイア……!」
着地した猫耳の獣人は牙を剥き出しにして今にも騎士に飛びかかりそうな状態。滝澤は木刀を構えようとして木刀を置いてきた事を思い出した。
「獣人よ、お前の主と同じモンスターを嫌悪しないニンゲンだ」
「本当かしら。にわかには信じ難い話なんだけど」
獣人がやってきた方向と同じ方向から翠色の瞳を持った旅装束の女性が姿を現す。
「(状況が特殊すぎて分からないが……何か俺、凄い事に巻き込まれてないか……!?木刀無いんですけど……)」
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