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ルナが採ってきたリンゴで腹を満たした一行はワイヴァーンの寝床を目指す。
「いいのか滝澤?何の作戦も無しにワイヴァーンと会って」
「別に戦うわけでもないんだし、交渉に使えるようなものもないからいいだろ」
ヴィルの心配を滝澤は笑って返す。この緊張感の無さを改める気は無いようだ。
「愚鈍な者だな。このワイヴァーンを相手にそこまで大口が叩けるとは」
「ゲッ……!」
声と共に、突風が滝澤を襲った。木々を退け、ワイヴァーンの巨体が滝澤の目の前にズシンと降り立った。
「あの……俺、また吹き飛ばされたりします?」
「当たり前だっ!」
ワイヴァーンの大きく開いた口の前で圧縮された空気の球が形成される。
「待っておじいちゃん!」
「危ないルナ!後ろに居ろ!」
滝澤を庇うように前に出たルナに続き、ヴィルが剣を抜いてさらにその前に出る。
「ヴィル、ルナ、何をしている……!?そのニンゲンを庇うのか?」
二人の行動に驚いたワイヴァーンが口を閉じると空気の球は解けていった。
「当たり前だ。夫を護らずして何が妻か。例えじいさんと言えど容赦はしないぞ」
「滝澤は悪いニンゲンじゃないよ」
二人の目はワイヴァーンに対抗の意思を伝えていた。ワイヴァーンは滝澤を一瞥し、大きく溜め息を吐いた。
「そうか……ならばニンゲン、決闘だ。次に日が登った時、この先の開けた土地に来い」
「まぁ当然の展開だよな。それじゃ、俺が勝ったらある程度は好き勝手させてもらうぜ」
「好きにしろ。負ければ今度こそ国まで飛ばしてやる。覚悟しておけ」
双方、睨み合ったままゆっくりと離れていく。ワイヴァーンは再び翼を広げ、上空へと消えていった。
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