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容赦なく複数人で襲い掛かる男達。滝澤は臆することなく一人の服に木刀を引っ掛け、ジャイアントスイングのように一回転を経て正面に撃ち抜いた。
「怪物だ……」
男の一人がそう呟いた。一人の感覚が伝播し、感染していく。逃げ出そうとする者が生まれるのは時間の問題だった。だが、誰もが知らず知らずのうちに滝澤は入口の前に立っていた。当人以外は。
「逃がすと思ってんのかよ」
髪の下から覗く目に男達は獲物としか映っていなかった。目的などとうに失われているというのに。
「ひっ……」
自棄になった最後の一人が懐から小刀を取り出した。所持していれば法に触れる代物だ。彼らは裏社会の人間とも繋がっているらしい。
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