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電話
冬の空、外は薄暗い。
アパートの部屋から駐車場を眺めた。
やっぱりコウタの車はない。
ミカはコウタに電話をした。
ドキドキ、心臓の音をスマホが拾うのではないだろうか、スマホを持つ手は小刻みに震えていた。逆の手で震える自分の手を押さえた。
コウタに会いたい
プルルル、プルルル
「もしもし」
電話を待っていたかのように、
ワンコールで出た。
いつもの声だった。
いつものコウタの声だった。
「どこにいるの?何してるの?」
「アパートにいる」
いつもより低い声でコウタは答えた。
「えっ、ずっと心配して待ってたのに」
ミカは怒りで震えながら叫んだ。
悔しかった。ずっと待ってた自分に悔しさがとまらなかった。泣き叫んだ。
何をコウタに言ったかは覚えていない。
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