3. 入部

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3. 入部

3. 入部  4月に地区記録会があったが、青葉高校の陸上は完敗だった。  吉田監督は口をへの字に曲げ不機嫌な様子で休憩時間に教室に入って来た。   「一平君、陸上部に入ってくれ」 「ですから、入部しないと……」 「わかった。練習方法は相談に乗る」  言葉は丁寧だが、声の調子は強制的だった。  4月下旬、僕は陸上部に入部した。  吉田監督が、部員たちに僕を紹介した。  部員は20人ほど。  「俺は秋田。よろしくな」  1年先輩だ。校庭のトラックを走っているのを見たことがある。  180センチの長身で、真面目で、ストイックな程、練習熱心な先輩だ。 「僕、鈴木。僕は入部したばかりです」  鈴木は、170センチ。 中学でも陸上部だったが、中学対抗の大会に出場したことは無かったと告白した。  自己紹介が終わると、吉田監督は、僕にプリントを渡した。10枚くらいあった。 「俺は、努力・根性では記録は出せないと思っている。 練習では、ビデオを撮ってフォーム改造する。練習メニューの意味をよく理解してくれ。いいな木村君」  僕は、吉田監督の言葉と、プリントに書かれた、種目別スタート、走り方、フォーム、トレーニングの記載が詳細なのに驚いた。  
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