5.ひろみが倒れる

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5.ひろみが倒れる

5.ひろみが倒れる  ひろみは表彰式で一平の挨拶を聞きながら、心が乱れた。  心の殻を破って何かが出てくるような不安と、その不安を受け入れたいと願っている複雑な感情だった。  ひろみは帰宅すると、部屋に行き、小学校の卒業アルバムを取り出した。  ひろみは6年2組の集合写真で自分の姿を確認すると、男子児童の名前を探した。  木村一平の名前を見つけた。  ひろみは、前にも過去の記憶をたぐろうとして卒業アルバムを開いたことがあったが、今まで徒労に終わっていた。    ひろみが一平の写真を見つめると、再び頭痛が襲ってきたが、必死で痛みに耐えて、記憶をたぐろうと意識を集中した。  すると記憶の欠片が頭の中で、弾いたようだった。  霧に包まれたような景色は、ぼんやりしていたが、図書室の風景に変わっていった。  ひろみは気を失った。  5月の最後の日だった。
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