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「ところで、エメさんは執事なんですか?」
「そうですよ」
「え、でも、ネヴェエス医師はメイドって言ってたような……?」
「あのひとはそのあたり気にしないひとですからね。あのユークレルドが仮にも乳兄弟の彼女を一介の女給などにとどめておくはずがありません」
「ああ。たしかに。言われてみれば」
イレミレフさんは、そこですこし言いあぐねるようにした。
「いずれは、女主人にと考えておいでかもしれません」
「ああ」
「それが、現状彼女と対等に戻れる唯一の方法でしょうから」
「なるほど。でも、エメさんが承知しますか?」
「しないでしょうね」
「ですよね」
「でもそれは、必ずしも彼女の了解は要しないのです。必要なのは、根回しです」
「根回し?」
「簡単に言えば、家同士が納得すれば叶います」
「ああー。なるほど」
でも──
「それ、エメさんめちゃくちゃ怒るのでは」
「そうでしょうね。つまり、そちらも根回しですね」
「もともとそれができたらもっと簡単なのでは」
「そうですね」
「でもおふたり、お似合いですよね」
「はい」
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