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コンコココン
エメレリーンが自室で寝ようとしていると、部屋のドアが鳴らされた。
「はい」
応じると扉が開いて、寝間着姿のユークレルドが顔を出した。
「どうかなさいましたか」
「一緒に寝ていいか」
彼はどこか困ったような顔をしていた。
「──しかたありませんね」
ふたりでベッドに入る。
エメレリーンのベッドもひとりで寝るにはすこし大きめだったので、大人がふたりでも特に苦もなく寝ることができた。
幼いころはよくこうしてふたりで眠ったものだった。
かつてはふたりの間にはなんの壁も溝もなく、ただのユークレルドとエメレリーンだった。
今は、すこし違う。
けれどそれは周りの状況で、当のふたりの間には今もなんの問題もなかった。
「異世界から来た人間を、おれに扱いきれると思うか」
ユークレルドはつぶやいた。
今彼を不安にさせるものは、やはりそのことだったか。
しかし、エメレリーンは知っていた。初めて出会ったそのときから、ずっと知っているのだ。
「きっと大丈夫。あなたなら」
「そうか。おまえがそう言うのならそうなんだろう」
ユークレルドはエメレリーンを抱きしめた。
かつては、ふたりと一緒にちいさなドラゴンのぬいぐるみのミワァがいた。今はいないのがすこしさみしい。
けれどふたりはまだ一緒にいた。
ほおにキスをする。
「おやすみエメ」
エメレリーンは微笑んで、彼のひたいにキスを返した。
「おやすみ、ユック」
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