借り物

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「おはよ~」 朝からテンション高く挨拶して来たのは、友人の千絵だ。 千絵は、私が大学に入った時から仲良くしてくれる唯一の親友だ。明るい性格で、何かと私の事を気にかけてくれる。彼と付き合い始めた時、周りからの妬みの視線の中居心地悪い思いをしている私を励ましてくれたり守ってくれたりしてくれていた。 「あ・・・おはよう」 「ん~?どうした?元気ないぞ!この幸せ者!」 千絵は、私が付き合いだしてからずっと「幸せ者」と言ってくる。最初は照れ臭かったが、今はもう慣れてしまった。 昨夜の事を話そうかと迷ったが、私がオカルト会に入ったのをあまり良く思っていない千絵に話したら、「だからそんなサークルに入るの反対だったんだよ!」と言われかねないので、黙っている事にした。 そして週末・・・ あの日以来、人形に変化はなかった。 彼から連絡があり、近くのコンビニまで来ているというので迎えに行き私のアパートへ。嬉しいはずの日なのに、私の心には小さな不安があった。 あの又兵衛の言葉である。 「・・・・どうした?何か今日は大人しいね」 出された飲み物を飲みながら、彼は心配そうに私を見て言った。 (どうしよう・・・話してしまおうか) 私の頭の中では、迷いがグルグル回っている。 「そうだ。俺さ、この前友達とハイランドに遊びに行ったんだよ。あそこって入場料とか高いじゃん?しょうがないから友達に少し金借りたんだけど、それを今日帰そうと思ってるんだ」 「そう」 「友達の家ってこの近くだから、帰りによって返そうと思うんだけど今持ち合わせがなくて。本当に悪いんだけど、立て替えてもらえないかな」 「え?」
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