二月十二日

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 学校に行っていた娘が帰ってきたので、母の様子を話すと電話をしたいと言い出し、兄が居る予定だったのでじゃあ掛けてみようとなった。  娘は電話が苦手だ。これはたぶん若い子に共通することではないだろうか。普段、友人とはLINEでチャットが主だし、電話するにしても友人と気軽に話すことしかしていない。急に大人と世間話をしろと言われても困るらしい。  それを知っていた母が繋がった電話で言ったのは「貯金貯まった?」だ。これには横で聞いていた私も、電話の向こうで聞いていた兄も笑ったし、娘も笑いながらも「貯金? 貯金……貯まったかな」と、生真面目に答えていて、更に私は笑ってしまった。  母なりに何か話題を振ろうと思ってくれたのだと思う。ちょっと不思議なアプローチだが、それが逆に母らしかった。  結局、不思議な会話を繰り広げたが、娘は母が元気だったので上機嫌で電話を切った。どうやらこの夜、少し出血したようだが、量的には大したことがなかったようで翌日行った時もまだ元気なままだった。
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