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告白
眼前の赤い蕾は分厚いカサブタに覆われていた。触れればゴワゴワと硬い。それだけ元の傷が深いということだ。恭平は俯いて泣きながらも健気にバンザイを続けていた。
「洗濯したときインナーに血がついててさ、ちょっと心配した」
「ごめん……んっ、あ……」
「ううん、俺こそ勝手に動画見てごめん。恭平がアカウント間違って買ったってなんとなくわかってたのに」
その場所をさやかに捏ねると恭平の肩がびくんと震えた。
「最近、エッチしてなかったじゃん?それで、あんまり満足させてあげられてないかなって不安で、気持ちよくしてやりたいのになんでだよって偉そうなこと考えてた。ゴメン」
「んなことっ……!」
多分「そんなことない」と言いかけた恭平の言葉は涙に飲み込まれた。泣かせるつもりじゃなかったのに、つくづくダメな彼氏だ。
「恭平がしてほしいこと、全然わかってなかった」
「タケちゃん、やだ、タケちゃん、誤解しないで……!」
「怒ってない、怒ってないよ、恭平。でも、誤解は……そうだね、してるかも」
いよいよ嗚咽を漏らし始めた恭平を抱き直すと、タケルはコタツの上掛けを首元まで引っ張り寄せた。これでもう恥ずかしい場所は見えない。恭平の心臓はどきどきしっぱなしで、しばらくは言葉も発さずしゃくりあげていたけど、冷蔵庫にプリンがあるぞと発破をかけたらようやくぽつりぽつりと話し始めた。
曰く、体のどこよりも乳首が感じること。より強い刺激を求めて洗濯バサミを挟んだり、過激な動画を見たりするようになったこと。もうそこへの刺激なしには達せないこと。
「ここをギザギザのピンチでぐじゅぐじゅしたの?」
「ウン……」
「針とか、アイロンでジューって?」
「……それは、自分では、してない……」
「『自分では』?」
含みのある言い方に思わず食いつくと、思いもよらない答えが返ってきた。
「……タケちゃんに……」
「俺?」
「タケちゃんに、してもらう妄想して……恭平はいやらしい悪い子だからお仕置きって注射とか、タバコとか、紙やすり」
「ストップ、聞いてるだけで痛い」
背後からは恭平の表情は見えないけれど、握った手は汗をかき湿っていた。泣いたせいか、それとも興奮しているのか。再び突起に指を這わせたら、爪にカサブタの端がひっかかった。そっと摘まんだはいいが、こういうときタケルはいつも失敗する。
「いたっ……」
「あ、ごめん。やっぱまだ早かったか……それとも、気持ちよかった?」
「いたいよぉ……」
恭平はもぞもぞと身じろいでこちらを向くと、甘えるようにタケルの胸元に鼻先を擦りつけた。けれど一方ではしっかり股間を硬くさせてるんだからしょうがない。出血してしまったらしい乳首をくすぐると、恭平の喉仏が一度大きく上下した。
「さて、洗濯バサミ泥棒の恭平くん」
「はい……」
「お仕置きしようか」
「ウン……」
「ウンじゃないでしょ」
「はい……」
「よし。眼閉じて」
恭平が素直に目を閉じたのを確認して、タケルはすぐそばのカップボードに手を伸ばした。
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