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「とはいったものの……」
端的に言うと、暇だなぁ。
二日酔いだけれど、寝ていなきゃいけないほど辛いじゃない。けれど活発には動けない。
「幸いにもご飯は結構残ってるから……って、あれ?」
無い。ゼロではないけど、ほとんど無い! そこまで減ってなかったと思うんだけどなぁ。
うーんうーんと唸っていても仕方ない話だけれど、偶然にも悩ませていた頭の違和感で思い出せた。
「あぁ、昨日食べちゃったんだっけ」
この頭痛は昨日のお酒が原因。お酒といえばおつまみ。
正直言うと俺は、お酒よりおつまみの方が好きだ。だからアライグマたちの酒盛りにはがっかりした所もある。ドーナツだのスナック菓子だの、食べられないおつまみばかりだったから。
だからジェットとここで飲んだ時には、俺からおつまみを振る舞った。
「えぇと確か、ドングリクッキーに、山菜の煮物だったかな」
どれも故郷で作った保存食だ。人間たちの残したレシピというのは、本当にすごいと思う。そのまま保存するよりも、遥かに長く保存ができる。その手間も案外手軽なものが多い。
本能的に火は怖いけれど、慣れればなんてことない。場所を選べば森に燃え移ることもないし。火を使わないで暖かくなる、なんて便利な道具まである。
ともあれ、だ。備蓄がなくなったのなら、買いにいかなきゃいけない。仕事を休んだ身で行くのは後ろめたいけれど、生きるためなんだから仕方ないよね。
買い物にいくとなれば、車を出さなくっちゃ。
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