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Hey,Brother!
ひっく、ひっくと喉が引き上がる。
酔いは覚めてきて、ここが自分の巣穴であることもハッキリとわかる。ここまで連れてきてくれたのが、目の前にいるアライグマ、ジェット先輩であることもわかる。
それでもまだ、ひっく、ひっくと情けない声が込み上げてくる。
「大丈夫か? ちゃんと水を飲めよ」
「ここの水道水は少し──ひっく。変な味がするから飲み──ひっく。たくないんだ。
俺の住んでいた所は水──ひっく。道はなかったけど、山の水が冷たくて美味しかった」
「お前、水道水を飲もうとしたのか?! 浄水器も付けてない水道水を?!
そりゃあ無茶ってものだ。もちろん水道水はお茶じゃないが、そうじゃないぞ」
「っはは。今──ひっく。今のはアライグマジョーク? だとしたらちょっと──ひっく。いや、大分笑える」
「そんな事も知らないなら、お前って本当にタヌキなのかもな。ちょっと待ってろ。浄水器ついてないんなら水を持ってくるから」
そう言い残すとジェット先輩は、名前の通りジェットみたいに飛び出していった。
俺がタヌキだって信じてくれそうだし、こんな俺のために水を持ってきてくれるなんて、ジェット先輩はアライグマの中でも優しい人なのかもな。
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