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Sample2 部下から上司への報告①
「―――指揮官殿、少しばかり宜しいだろうか」
「何じゃ、バイルか。相変わらず気配がないのう。後、人はいないが指揮官殿は一応止めておこうか、兎の耳に入ったら後々ややこしい」
気配がないという割には、グランドールが大して驚かないのももう慣れてしまった、背の高さも変わらない部下は、王宮の廊下で人通りが少ない絨毯の上を足音を立てずに傍に寄って来る。
ただ、グランドールと並び立ったなら、髪が生まれついてアッシュグレーであるのと、何よりも黒目の虹彩が大きく中央の瞳孔が紅いのが特徴的なので、体躯が殆ど同じなのに、髪の色を揃えて背後から見なければ、誰もそんな事には気が付かないだろうと思えた。
「で、如何した?、わざわざお前から話しかけてくるというという事は、それなりに急用なのだろう?」
「はい、デンドロビウム・ファレノプシスが、本日は非番のリコリス・ラベルライヴ・ティンパニーを動かしました」
それを耳に入れたなら、グランドールには十分心当たりがあったので、"ああ"と頷く。
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