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覚醒した僕は、天井さえも埋め尽くしているお姫様の写真をぼんやりと眺めた。
笑っている顔や、怒っている顔、それから喜んでいる顔もあるし、一生懸命ピアノを弾いている物もある。
まだはっきりと思考は働かない。
けれど、ここが一番上の兄様のお部屋だと云う事は分かる。
それから今日が、日曜日だと云う事も分かる。
何故なら僕は、日曜日にしかこの屋敷に現れないからだ。
「眠ちゃん、起きてぇ。」
兄様が愛情を込めて作ったワンピースを着て眠っているお姫様の頬を、僕は人差し指で突いて声を掛ける。
贅沢なくらいにレース生地を使って作られている純白のワンピースは、まるでウエディングドレスみたい。
これを創った兄様の愛情と欲情が、ワンピースにもしっかりと反映されていた。
「ねーむーちゃん。僕起きたの、寂しいから一緒にご飯食べようよ。」
頬に触れるだけの刺激では夢から醒めてくれないお姫様。
僕は頬を膨らませながら、今度は華奢な身体をゆさゆさと揺さぶった。
綺麗な放物線を描いている眠ちゃんの睫毛が、漸く持ち上がった。
可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。可愛い。
眠ちゃんは全く、可愛くて仕方がないの。
可愛過ぎて、意地悪したくなってしまう。
くるんとカールのかかった長い睫毛に縁取られた彼女の瞳映り込んだ僕は、甘い笑みを湛えていた。
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