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彼女は口を尖らせる。少しご機嫌斜めだ。目立つところで待っていたのが悪かったのかもしれない。 「僕はじゃなくて、相談したいのは彼女。この人は伊藤さん、僕の大学の友達で少し困ったことに巻き込まれているみたいなんだ。妹さんが呪われたかもしれないらくて――」 「あたしには関係ないね」 「まってよあいりちゃん」 あいりちゃんはやれやれと首を振って友達の所へ戻ろうとする。 「カルティのチーズケーキ!」 「今日みんなでカラオケ行くの」 「いちじく亭のこんもりチョコパフェ!」 「……行かないって」 「福寿庵のフルーツ大福! やばいネタ切れしてきた、伊藤さん。美味しいお菓子が食べられる店知らない? どんなものでもいいから」 「え? えぇっと、最近出来たベリーボムって所のケーキセットが美味しかったけど」 あいりちゃんの耳がピクリと動いた。友達の肩をたたいてゆっくりと首を振る。 「ごめん、急用でカラオケ行けなくなっちゃった。ベリーボムには勝てん」  この裏切り者ぉー!! と叫ばれているのが聞こえた。あいりちゃんは舌をだしている。  そして笑顔で僕たちの方を振り向いた。 「じゃあ、何があったのか聞かせて貰おうか」
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