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掌を太陽に
外に出て、う~んと、手を上に伸ばした。
次は自分の手を、パーにして撮ろうとしているのだ。
空に向かって広がる掌。
ここである事にチェキ子は気づいた。
片手を空に向けて上げると、もう片方の手だけで、撮らなくてはならない。
(ムズい)
手を上に思いっきり上げて、もう一つの手だけで撮るのは、かなり難しいのだ。
チェキ子は、手をブレないようにしながら、何とか撮った。
(今度こそは!)
どうした?チェキ子、上手く撮れたか?
おお!どうやら今回は上手く撮れたようだ。
一人でニマニマしている、チェキ子の顔を見れば、誰にでもすぐにわかる。
チェキ子はすっかり、写真を撮る事にハマっていた。
一生懸命、バイトをして貯めた貯金はフィルム代へと全て消えていった。
でも、チェキ子は全く後悔していない。
何よりも写真を撮る事が好きだったから。
夢中になるとは、そう言う事だ。
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