第1章…修行

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コンコン! ルディは力を込めて扉をノックした。 「誰じゃ?新聞なら間に合っとるぞ!」 (え…し…新聞…??) それが何のことだかわからず、頭をひねりながらルディがドアの前に立っていると、中から長い白髪の老人が顔をのぞかせた。 「なんじゃ、子供か。 ハロウィンでもお菓子はやらんぞ。」 (は、はろうぃんって、なに?!) 次々と繰り出される知らない言葉に、ルディは戸惑い焦るばかりだった。 「……なんじゃ…リアクションの悪い子供じゃの。つまらん……」 「り…りあくしょん…??」 (りあくしょん…って、何?? ロディックさんは一体何の話をしてるんだろう…?? ……はっ!もしかしたら、魔術師の専門用語…?) 冷や汗をたらしながら考えこんでいるルディを見て、ロディックはいいかげんからかうのをやめた。 (駄目じゃ…この子は面白くなさすぎる…わしのハイセンスなギャグがまるで通じておらん!) 「……して、子供よ。 このロディックに何用じゃ?」 「ぼ、僕、立派な魔術師になりたいんです! どうか僕に魔術を教えて下さい!」 「なんじゃ、そんなことか。 で、月謝はいくらくれるんじゃ?」 「げ、げ、月謝がいるんですか!」 「当たり前じゃ。 わしのこの高等魔術がただで教われるわけがないじゃろう!」 確かにこの老人の言う通りだ…… ルディは、大人の世界の厳しさに打ちひしがれた。 しかし、ロディックに断られてしまっては、他に頼る手立てはない。 ルディは、懸命に食い下がった。 「ぼ、僕の家はとても貧乏で……4畳半の1DKに家族3人で暮らしてるんです。 風呂なしでトイレも共同です。 だ、だから…とても月謝は払えません…でも、その分、僕、一生懸命働きますから…… どうか、どうかお願いです!」 「う~ん、しかし、おまえのような子供がいてもなぁ……」 「僕、なんでもしますから!!」 「なんでもとじゃと…? では、住み込みで弟子入り出来るか? 修行はものすご~く辛いぞ。 ……それでも良いのか?」 「はいっ! ぼ、僕、頑張ります!」 ルディはまた3時間かけて家に戻り、両親に山奥留学の話をした。 当然、両親は猛反対したが、ルディの決心は固く、3日後にはとうとう両親も根負けした。 「ありがとう、父さん、母さん! 本当にありがとう!」 ルディは何枚かの着替と身のまわりのものだけを袋に詰め、再びロディックの住む小屋を目指した。
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