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颯太が褒めてくれた写真は、先輩部員たちの強い後押しもあって、とある写真コンテストに応募する運びとなった。
わたしの写真は優秀賞を受賞した。結果を耳にしたときは目が点になった。まさに青天の霹靂と言える。聞き間違いだろうか、最初はそう思った。なかなか信じようとしないわたしのことを、部長たちは苦笑いを浮かべながら見ていた。だって仕方がないでしょ、入賞するとは微塵も想像していなかったんだから。反論すると、ますます彼らの苦笑は深くなった。
やはり誰かに認められるというのは嬉しいものだ。なによりも、颯太に褒められたことが一番気分を昂らせてくれた。わたしはすっかり舞い上がった。もしかしたら、人生で一番心が弾んでいたかもしれない。
そんなときだった、妙な噂が流れ始めたのは。
真宙の写真、あれ、別の誰かに撮らせたものらしいよ。
じわりじわりと、その噂は校内に広まっていった。尊敬の眼差しは一転、疑惑の眼差しに変わった。わたしの味方をしてくれる友人も多かったが、生徒の中にはその噂を信じる人もいるみたいだった。
どこの誰がこんな根も葉もない噂を流したのか。部長や颯太がいろいろ調べてくれたものの、出所ははっきりしなかった。有耶無耶のまま、その噂は時間とともに立ち消えになった。
いまならわかる。誰があの噂を流したのか。その理由も。
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