思い出の写真

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「ま、ひろ?」  颯太の呆然とした声が下から聞こえてくる。わたしはその口を、強引にふさぎにかかった。唇同士が触れ合う。わたしは泣きそうになりながら、聡太にキスをした。 「真宙……!」  颯太の逞しい腕が、わたしの身体を引き離しにかかった。抵抗するものの、男子の力にはかなわない。 「どうしたんだよ、おまえ。急に、こんな」 「わたし、颯太のことが好き」  叫ぶように、わたしは自分の想いを口にした。どんなテストよりも結果がわかりきっていたのに、言わずにはいられなかった。もしかしたら運命が変わるかもしれない、そんな淡い期待を抱いていたから。 「……ごめん」  俺はおまえの気持ちには応えられない。  颯太は顔を伏せ、声を絞り出すように言った。悲痛な面持ちだった。彼にそんな表情をさせてしまった自分に、罪悪感を抱く。  やっぱり、ダメだった。わたしは涙で顔を濡らしたまま、そっと颯太から離れた。  運命は変えられない。このときではもう、行動を起こすには遅かったのだ。  重苦しい沈黙が流れる。視線を合わせることすらままならない。  潮時だ、そう思った。もうここにはいられない。  先ほど颯太がなにを言いかけていたのか、わたしはその先を知っている。  俺、実は、紗奈と付き合うことになったんだ。  その言葉を、わたしは二度も聞きたくなかった。
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