2017年 〔冬の陣/師走鍋〕

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542次元:高尾山〔三〕  薬王院参拝後、下山を始めた。霧の発生が続いていた。このような高尾山を見る(歩く)のは初めての経験である。まさに「神秘の領域」という感じがする。思い切るまで、相当迷ったが、決行して良かった。  帰りは「ケーブルカーに乗る」という選択もあったが、結局、自分の足で下ってしまった。今回は高尾駅(方面)に続く道を選んだ。  しばらくの間、ラジオ(文化放送)を聴いていた。感度良好。大竹さんの声も室井さんの声も、山中とは思えぬほどクリアーに聴こえるのだった。ワイドFMの威力である。ずっと聴いていたかったのだが、やはり危ないと考え直し、電源を切った。  その後は黙々と歩き続けた。途中、何組かの登山者と会った。すれ違う際に、無意識的に挨拶の言葉が出る。これも「山効果」のひとつであろう。下山完了は1時半頃になった。歩数計が「20536歩」を示していた。  車道を右にして、歩道を進めば、高尾駅に至るわけだが、その前にやるべきことを思い出した。同駅ではなく、高尾山口駅に向かって歩いた。  高尾山口駅の近傍に、異様な存在感を放つ遺跡風の建物がある。トリックアート美術館だ。一度は訪れてみたい不思議空間だが、あいにく今日は時間の余裕がない。次回の楽しみということにしておこう。果たして俺に「次回」があるのかどうかはわからないが……。  駅前の案内所兼売店に入り、ポストカードを20枚買った。レジ係のおばちゃんが「こんなに買ってくれるんですか?」と半ば驚いていたが、俺が「忘年会で配っちゃうから、すぐになくなると思いますよ」と答えると、納得した様子であった。  近年はカードの値段も上がっている。そんな中、税込みで100円というのは、まことにありがたい。おばちゃんが、八王子市のゆるキャラ「はっちお~じ」が刷り込まれた袋に買ったものを入れてくれた。  購入後、店を出て、高尾駅を目指した。踏切を渡り、同駅の南口付近に足を進めた。さすがに腹が減っていた。喉も相応に渇いている。商業ビルに入り、その2階にあるレストランに行った。この店に来るのも、高尾山同様、3度目である。初登山の日に発見し、すっかり気に入ってしまった。  同店自慢のコロッケ定食を頼んだ。食前にビール。運動の後に呑む酒は旨い。旨いが、呑み過ぎは禁物だ。特に今日は、宴会を控えている。小瓶1本で我慢した。〔12月3日〕
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