2017年 〔冬の陣/師走鍋〕

6/15

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/253ページ
545次元:賢兄賢弟  洗面所に行き、歯を磨いた。磨いてから、水道水で薄めた嗽液で口中をすすいだ。居室に戻り、円盤(DVD)再生機を起動させた。中におさまっている『真田丸』(の1枚目)の再生が始まる。第4回「挑戦」を観た。  真田昌幸(草刈正雄)と織田信長(吉田鋼太郎)の対面が「挑戦」の山場になるわけだが、これがなかなか良かった。信長本人が実際に現れるのは、ほんの少しで、台詞も短い。贅沢なやり方であり、信長に帝王の貫録と得体の知れぬ不気味さを与えていた。脚本も演出もまことに巧みであった。  愚兄賢弟(ぐけいけんてい)というあまり好きになれない言葉があるが、真田家に限っては当てはまらないようである。昌幸の才能を、二人の息子は確実に受け継いでいる。信之は政才を、幸村は戦才を。パパ自慢の賢(かしこ)息子たち。  育て方も良かったのだと思う。子の可能性を潰したがる変な親が世の中には結構いるのだ。無論、そんな家族(親子)にまともな未来はない。遅かれ早かれ、崩壊デーを迎える。  大坂決戦で華々しく散った幸村に比べると、地味な印象を受けるが、仮に信之が凡将であったら、真田家は時代の荒波に飲み込まれるか、激流に押し流されていただろう。数々の嫌がらせに耐え、よくぞ持ちこたえたと思う。  休憩後、再生機の中から『真田』を取り出し、次の円盤を滑り込ませた。小林薫主演の『深夜食堂 第四部』(の1枚目)である。今宵は『真田』と『深夜』の二本立てになった。  同盤収録の「タンメン」と「アメリカンドッグ」を続けて観る。どちらも面白かった。よくできた短篇映画の趣きがある。片岡礼子、近藤公園、佐藤B作、新井浩文と、ゲストの顔触れも多彩である。もし存命ならば、天本さんにも出て欲しかった。  小林さんがマスターを好演している。完全に役に馴染み、代表作のひとつにしてしまった。さすがである。白状すると、番組開始当初は「ミスキャストではないか…」と、考えていたのだ。  朝が来た。洗面所に行き、顔を洗った。台所に行き、湯を沸かした。インスタントコーヒーを淹れた。テレビの情報番組を(ラジオで)聴きながら、熱いやつを飲んだ。  居室に行き、2杯目を飲みながら、本を読んだ。平井和正の『狼の怨歌』(ハヤカワ文庫SF)を読了した。その後、愛機を起動させた。ぴよぶっくを呼び出し、編集作業に没頭した。〔12月10日〕
/253ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加