2017年 〔冬の陣/師走鍋〕

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548次元:主役は誰だ  眼が覚めた。枕辺のアナログ時計が「朝の7時半」を示していた。洗面所に行き、顔を洗った。台所に行き、湯沸かし器にミネラル水を注いだ。窓ガラスの向こうに、寒天が広がっていた。寒天と云っても、ところてんの材料ではない。寒々しい冬空のことである。  沸き立ての湯でインスタントコーヒーを淹れた。味の素AGFの「ブラックインボックスアソート」である。ひとつの箱にブラジル、モカ、キリマンジャロ、コロンビアの計4種が封入されていて、なかなか便利だ。  昨日、近傍のコンビニで買ってきた「バジルの香りとチーズのコク ベーコンジェノベーゼ」なるものを齧りながら、熱いやつを飲んだ。  居室に2杯目のコーヒーを運んだ。円盤(DVD)再生機の中に仲村トオル主演の『悲しい色やねん』を滑り込ませた。1988年に公開されたもの。完成度はさておき、敵役の小林薫が異様に面白い。ほとんど独壇場だ。トオル君ではなく、小林さんの映画になってしまっていた。  クレジットの順番は関係ない。劇中、最も際立っているキャラクターが、その映画の主人公なのだと俺は考えている。改めて、巧い役者さんだなと思った。近年の当り役は「深夜食堂のマスター」になるわけだが、あれが、俳優小林薫の全てではない。幅の広い、多彩な演技ができる人だ。  鑑賞後、身支度を整えた。戸締りを確かめ、玄関の鍵をかけてから、自室を離れた。腹が減っていた。我が町の目抜き通りに足を進め、先々月(だったかな?)にオープンした蕎麦屋(兼居酒屋)の暖簾をくぐった。  カウンター席に陣取り、コロッケカレーを頼んだ。出来上がりを楽しみにしながら、和洋折衷の店内装飾を眺めていた。期待は裏切られなかった。豊富な具材とサラサラ系のスープ。まさに「理想のカレー」と云えた。いい店を見つけた。ちょくちょく通うことになりそうである。  食後、町外れにある中古屋へ向かった。買い取りコーナーに行き、持参したDSカード2枚を売却した。予想額(500円ぐらい)の3倍を超える値段で買ってくれたので、ちょっと吃驚した。  帰宅後、風呂場に行き、簡単な掃除を行った。磨き立ての湯舟に温水を張り、発泡系入浴剤を落とし込んだ。体を沈め、充分あったまったところで栓を抜き、シャワーで全身を軽く洗った。入浴後、居室に焼酎と氷と炭酸水を持ち込み、酎ハイを作った。〔12月17日〕
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