2018年 〔春の陣/睦月鍋〕

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556次元:肉食SF  長い長い眠りから覚めたダイモンは、遠路日本を目指す。バビロニア妖怪たる「彼」が、何故に極東の島国を侵略目標に選んだのかは定かではない。よくわからないが、多分「行ってみたかった…」のだろう。  ダイモンの好物は、人間の生き血である。奴にとって人間は「新鮮な血袋(食料)」に過ぎない。そう。ダイモンは人類の天敵なのだ!この不気味さと禍々しさは、デビルマンの敵役、先住者デーモンに引き継がれてゆく。  異郷のモンスターを迎え撃つ我らが日本妖怪は、外見も性格も、剽軽者が大半で、合戦場よりも、演芸場が似合うような気がする。おそらく、自分たちもそう考えているはずだ。だが彼らは「けったいなよそもん」の横暴や跳梁を見逃すほどには腰抜けではなかった。共通の敵を得て、一致団結し、総がかりで、吸血悪魔ダイモンに戦いを挑む。日本側の大将格は油すまし。  同映画を観るのは、今夜が2回目である。初めは退屈したような憶えがあるが、今回は妙に面白かった。本来あってはならないことだが、当時の心境や体調が、作品の印象に影響を及ぼしたのかも知れぬ。  全篇を満たす「手作りの味」に好感と満足を抱いた。このような映画を撮ろうとしても(甚だ無念だが)現在の邦画界には撮り切れまい。特撮時代劇というカテゴリー自体が、存在(成立)しないのだから、どうにもならない。無理矢理作っても、おかしなものが出来るだけだ。はなからやらぬ方が良い。  翌日は「朝の5時」に起床した。久々の元旦出勤である。布団から出るのに、大変な気力を要した。身支度と戸締りを済ませ、自宅を離れた。世界はまだ「夜の内」で、天空に満月が輝いていた。  駅到着。階段を登り、改札を抜けた。歩廊でしばらく待っていると、列車が滑り込んできた。扉が開きざまに乗り込んだ。ガラガラに空いていた。まるで貸し切りだ。正月ならではの光景と云える。  職場到着。敷地内にあるコンビニに行き、菓子パンとコーヒーを買った。無人の広場で、最初の朝飯をしたためた。食後、2杯目のコーヒーを飲みながら、笹沢左保の『宮本武蔵(二)地の巻』(文春文庫)を読んだ。  業務終了。帰りの電車の中で『こちらニッポン…』の上巻を読み終えた。前半にはステーキが、後半にはスキ焼きが登場する。未曽有の事態に直面しても、食欲を失わぬ逞しさ。このバイタリティが俺も欲しい。〔1月6日〕
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