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写真という字は、真を写すと書く。
だから、これに真実が写っているのは疑いようもない。
僕の手には一枚の写真。
それは僕自身を写したもので、そこには僕が二人いる。
右に一人。
左に一人。
このどちらが本物の僕なのか。
自分の立ち位置なんて意識していなかったから、わからない。
「どうしたの?」
不意に友達から声を掛けられた。
「何でもないよ」
僕はその写真をポケットにねじ込んだ。
その時、気付いた。
どちらも僕なんだ。という事に。
ここにいる僕の中からするりと出てきた、友達にさえ隠し事をする僕。
さながら本音と建前みたいな。
表の僕と、裏の僕。
なるほど、確かに写真は真を写すんだなぁ。と僕は感心した。
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