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【二巻~七巻までの感想】
いかがでしたでしょうか。今後、読まれる方もいるかもしれません。結末などハッキリしたかたちでのネタバレは避けるようにしました。
二巻から四巻までは、古都子がクラスで孤立したままになっており、二人の関係を乱す諏訪間天女や生徒会長の存在など緊張した状況が続きます。
その中で清一と古都子に関係は徐々に深まっていき、第四巻で感動的な展開となります。
僕は第一巻の次に第四巻が好きです。
古都子の純情で一途な恋心が丁寧に描かれ、それを受け止めて古都子を守る清一の優しさが感動的です。
二人が絶対に結ばれて欲しいステキなカップルだと分かります。
第二巻、第三巻は、ふたりの関係が確実に前進していることを描くための間奏曲だったと改めて分かります。
第四巻までは第一巻のパワーが確実に維持されており、作者の力量をうかがい知ることができます。
問題はそれ以降かと思います。
このシリーズは十二巻まで続く長期のシリーズとなりましたが、シリーズとしての魅力は第七巻までと思っています。
古都子についての悪い噂が流れている。
その噂をなくそうというのがシリーズの重要な要素の一つでしたが、第七巻までのところですべて解決し、古都子はクラスの一員として完全に受け入れられます。
清一と古都子も正式にはつきあってはいないものの、全校生徒が認めたお似合いのカップルになる。
本来、ここで完結してもよかったと思うのですが、実は優佳も清一を好きだったことが明かされ、清一を快く思わない古都子の姉の徳子や田所が口にする「あの人」など新キャラの登場でストーリーを引っ張ることになります。
ただしですね。
ここからが重要な部分です。
シリーズの場合、主人公とヒロインを取り巻く危機的状況や懸念事項がすべて解決したら、読者の興味は完全に失われてしまうのですね。
・清一と古都子がカップルとして祝福される関係になる。
・悪い噂も完全になくなってしまう。
そうなると後はハッピーエンドになるしかないわけです。
この小説では優佳の清一への思いが明らかになることでストーリーを引っ張ろうとしていますけれど、古都子と優佳は親友同士で、あくまでよいライバルとして清一を巡って競いあうという関係ですね。
ストーリーを引っ張るほどの危機や懸念事項にはならないと思います。
時雨亜湖が古都子への恨みを晴らすために合同文化祭を仕掛けるというのは、よくよく考えると大がかり過ぎて荒唐無稽ですが、このキャラクターの場合、早い時期から伏線として登場させて意味ありげに立ち回りさせています。
ですので、合同文化祭自体が古都子を陥れるための悪魔のイベントだったという現実離れした展開も全く不自然には見られません。
亜湖にしても古都子の姉の田中徳子にしても、登場人物の登場のさせ方は大変うまいです。
早い時期に登場させ、キャラクターをハッキリ読者に示す手法は、この小説の場合、非常に成功しています。
エブで読んだ投稿小説で明らかに問題を感じさせるのは、新キャラの登場方法かと思います。
チラリと登場させ、ある程度、本格的に活躍させるまで少しずつ引っ張るという手法。
実はあざといというか、連続テレビドラマの手法なのですが、キャラを浸透させる点では一番効果的だと思います。
亜湖は第六巻から登場しても差し支えないキャラです。実際に主人公と深く関わってくるのは六巻からです。
ただし早い時期での意味ありげな登場は、シリーズを成功させるうえで大変成功しています。
これは、僕らが絶対に見習ってよい手法だと思います。
ただし清一が二次元の女性しか興味を持てない。
現実の女性に興味が持てないため、古都子にも女性としての興味がもとないという重要な要素は、ここまでくると相当足かせになっています。
エロゲが好きだからといって、なぜ自分をここまで慕ってくる女性とつきあうことができないのか。いつも行動を共にしているのにおかしいのではないか?
その通りだと思います。
よく考えると不自然な設定ですが、この設定がなくなると清一と古都子は完全なカップルとなって物語を続ける上での制約が増えるためか、明らかに作者はスルーしています。
そのため、読んでいると、
「どう考えても二人はカップルでしかないのだけど、本人同士はカップルでないと主張している」
という極めて苦しい設定で、このまま十二巻まで進んでいきます。
これはシリーズ化した場合、陥りやすい矛盾です。
僕の唯一シリーズ化した『こわいけど大好きな先輩』シリーズも、非常に苦しい設定の下、微妙なところで矛盾をスルーさせて進めています。
さてこのシリーズは、第七巻のところで明らかに矛盾した展開を示しています。
「筋が通らない」
という読んでいて明らかにストーリー上の不自然さを感じる展開です。
ここらあたり、シリーズ化の弱点。
シリーズを続けるために作者がムリヤリストーリーをつくるという部分です。
どこにあったのでしょうか?
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