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矛盾した展開というのは、生徒指導の田所の扱いですね。
第七巻のクライマックス。
時雨亜湖はミスコンを利用して出場者の綾女古都子を陥れようとします。
清一は亜湖の計画に気づきます。
生徒会長や担任の大原先生、教員を務める従姉の桐子も味方につけてミスコンで騒ぎを起こし、結果的に古都子は優勝して亜湖は屈辱を味わいます。
それに対して田所は、ストーリー紹介で書いた通り、
「今回だけはお前の行為を見逃す」
と言って立ち去ります。
田所は厳しいように見えるが、実は話の分かる教師と作者は言いたいようです。
しかし田所の言っていることは全く筋が通らないのです。
文化祭自体、時雨亜湖が古都子を陥れるために仕組んだ罠でした。
演劇の時に大道具が落下したことは、古都子があえて不問にしたため表ざたにはなりませんでした。
ただしミスコンの時です。
亜湖が古都子を陥れるために、全くのデタラメを生徒達に披露しています。
この場面は目撃者が大勢いますし、担任教師や生徒会長は清一から亜湖の企みについて聞かされています。
清一は古都子を助けるために騒ぎを引き起こしますが、それ自体止むを得ない行動でした。(ネタバレを最小限にしたいため、詳しくは書きませんが、学校中に知れ渡る方法で亜湖の悪だくみを暴露した)
田所はミスコンで起きていたことを調べ、黒陵高校の生徒役員が私怨を晴らすために合同文化祭を企画した事実を知ることができたはずです。
要するに三影高校は黒陵高校の一生徒の計画に騙され、自分の高校の生徒の将来を台無しにするところだったのです。
責任は非常に大きいと思います。
誰が読んでも清一は責められる立場にありません。
今回の陰謀は証拠がなかったわけではありません。そもそも桐子や大原先生に尋ねればあらかたの事情は分かったはずなのです。
田所が自分の生徒を守ろうとするなら、怒るべき相手は黒陵高校の時雨亜湖に対してであり、彼女の計画に乗って合同の文化祭を進めた学校の責任者ということになるでしょう。
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