64人が本棚に入れています
本棚に追加
【ストーリー】
原作は三人称。
飯島靖貴は千葉県南総高校の三年生。理系クラス。「郷土地理研究会」という文化部に所属。
眼鏡をかけた地味で目立たない見かけに加えて人づきあいも苦手。
オタクの友人、斎藤克也くらいしか友人がいない。
三年になった頃には、スクールカーストの頂点。女子からも全く無視されている。フツーに話が出来る相手といえば、中学時代からの腐れ縁の田村ななみくらい。学業優秀。さばさばした性格のななみは、飯島のことを「めっしー」と呼ぶ間柄。
北岡恵麻。飯島のクラスメイト。スクールカーストの頂点に立つ。ピアスにネックレス、厚化粧とギャル風の外見。
靖貴は一年の時に恵麻からひどい態度をとられたこともあって、極力目を合わさず、関わりあわないようにしている。
夏休みの勉強合宿。ある晩、道端で足を怪我して苦しんでいる恵麻を見かけた。苦手な相手とはいえ、ほってはおけず、自分のスニーカーを貸して宿舎まで送る。
靖貴の方は、恵麻との関係はそれっきりのつもりだったが、それからというものの恵麻は靖貴を意識し始める。
学校では知らん顔。学校を離れると恵麻の方から靖貴に声をかけるようになる。とうとう水曜日の夜。予備校の帰り、一緒に帰る関係になった。
靖貴は恵麻の本心が分からず、モヤモヤした思いに悩まされていた。
文化祭当日。靖貴の所属する「郷地研」では、見学者向けに「ちぃばぁ」というキャラクターとの撮影会を予定していたが、着ぐるみに入る生徒がおらず、靖貴が引き受けることになる。
着ぐるみを着ていた靖貴に恵麻が近づいてくる。
靖貴が入っているとは夢にも思わず、恵麻はちぃばぁに自分の悩みをあれこれ打ち明ける。そして、
「気になっている人がいるんだ」
と心の内を打ち明ける。
靖貴は、恵麻がほかに思っている男子がいるんだと思い込み、心の底から落ち込む。
そして自分が恵麻のことを好きなんだと、ハッキリ意識するようになる。
二人の関係は、学校外で少しずつ近くなっていくようにも思えた。
ところが二学期の終業式の後。職員室に出向いた靖貴がクラスに戻ってくると、クラスには恵麻達数人が残っていた。
聞き慣れた恵麻の言葉が廊下まで聞こえてくる。
靖貴との関係をクラスメイトにからかわれる恵麻。
恵麻は靖貴に迷惑をかけてはいけないという思いから、深くは考えず、
「あんなおタク相手にするわけないじゃない」
と冷たく突き放す。(「君に恋をするなんて、ありえないはずだった」)
がっかりした靖貴は、それから恵麻のことを避けるようになり、恵麻からのモーションにも気がつかない。
自分をからかっているとしか思えず、一方で恵麻への思いは募っていく。
恵麻はといえば、靖貴がクラスメストとの会話を聞いていたことを知って申し訳なく思うものの、靖貴にどう接したらいいか分からないまま、三学期が過ぎていく。
ついに靖貴は、恵麻のことを忘れるために、山形の大学への進学を決める。
山形へ向かう前の晩。
靖貴は偶然、恵麻に出会い、山形の大学へ進学することを打ち明けた。
靖貴の前では平静でいた恵麻だったが、公園で別れた後、泣き崩れる。
どうしてこんなに離れちゃったのだろうか?
自転車を走らせていた靖貴だったが、今までの出来事をひとつひとつ思い出すうちに、恵麻の気持ちをハッキリと悟った。
靖貴は必死で自転車のペダルを漕ぐ!
公園。恵麻の姿を見つけた靖貴は、自転車から降りて駈け寄る!
恵麻が靖貴の前で、泣きじゃくりながら
「ごめんね」
を繰り返す。
靖貴は恵麻とどう向き合うか、ハッキリと心に決めた・・・
(「君に恋をするなんて、ありえないはずだった~そして、卒業~」)
最初のコメントを投稿しよう!