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「あー、ほんと最悪だわ。お前といても全然楽しくねぇ。」
タイミングよくそんな台詞をはいてくれたおかげで、声をかけやすかった。
「じゃ、私がもらっていい?」
「は?」
「君、一緒に外で珈琲のも。」
「・・・・・はい。」
数秒の沈黙が心臓をバクバクさせたが、頷いてバックを手にしてくれたのが幸いだった。
立ち上がると彼女は三嶋よりも少々背が高い。
白いワンピースがとてもよく似合っていた。それがこの屑男の為にお洒落したものだと思うと、保護者のような気持ちが込み上げてくる。
「あ、おい!!俺はどーするんだよ!」
「大丈夫、彼女は私が楽しませるよ。バイバイ。」
クスクスした笑いと、ひゅーと誰かが口笛をふいた。
周りも少なからずスッとしたのだろう。
控えめに後ろをついて歩いてくる彼女の表情は、安堵なのか、不安なのか、複雑な表情をしていた。
「いつもいく河原がね、今すごく桜が綺麗なんだよ?」
「・・・・・。」
足を止めてしまうと、彼女が2度と動けなくなりそうな不安がした。
彼女の手を優しく、包むように握れば振り払われることはなく。
いつもの河原のベンチまで誘導できた。
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