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「実はクリスマスプレゼント用意してます。」
シャンパンをあけ、乾杯しながら恵は言った。その顔はもう赤くはなっていない。
クローゼットから大きくラッピングされた袋を手渡され、
「メリークリスマス。」
「ありがとう。やっぱり用意してたんだ。」
「まさか、私がクリスマスプレゼントになるとは思ってもなかったけどね。」
ふふふ、ともう一口シャンパンを含む唇に飛び込みたくなったが、グッと我慢してリボンをほどいた。
モコモコのパジャマ、靴下、お揃いのマグカップ、スリッパ、イニシャル付きの歯ブラシ立てなどが出てくる。
「え、、これ、、、。」
「うちにそれをお泊まりセットとして置いてほしいなって。私の欲しいものになってるけど。」
はは、と歯にかみながら笑う彼女に、もう我慢は出来なくて。
ぐーーと力強く抱き締めた。
「気にしてたでしょ?うちに物を置かないようにって。」
「うん、、、嫌なのかなって、、。」
「もっと早くにすればよかったね、、ごめんね。嫌じゃないよ。ここに悠の存在をおいていって。」
必要最低限のものしか置かない彼女。アルバムさえないこの部屋に、私物を置くのは勇気がなかった。
歯ブラシや化粧水などもお泊まりセットとして持ち歩いていたのを、彼女はずっと気にしていたのだろう。
「クローゼットも使って良いから。あ、ちなみにパジャマもお揃いにしてみた。次は部屋着を一緒に選ぼうね。」
「うん、、、。」
やっと恋人としての印を置ける。
最高を越えたクリスマスプレゼントに、目頭が熱くなりすぐに涙がポロポロとこぼれた。
「悠、こっちみて。」
顔をあげるとカシャリと音がした。その音がカメラだと気付くのは早くて
「二人の写真も飾っちゃおうかなー。」
「せめて、もっと化粧させてー!」
すっぴんな上に泣き顔姿は飾られるのに抵抗があった。
「じゃこれから写真も撮ろう。」
これは幸せの絶頂なのかもしれない。
悠莉はグリグリと恵の胸に顔を押し付けながら、夢見心地で抱きついた。
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