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「、、、、思い出す、、必要、ある?」
重い空気の中、悠莉の言葉が胸にささる。
思い出せない過去を取り戻したい。彼女にそう話したのだ。
「もどかしくて、、思い出せないのが。」
「思い出したく、なかったんだよね?」
「うん、、、それで記憶がなくなったから、、。」
悠莉にしたら、過去のしかも恋人のことを思い出されて良い思いはしない。
黙って治療にいこうかとも思ったが、どうしても彼女に隠すことは出来なかった。
「辛い思いを、、、させてしまうかもしれない、、、。」
「思い出したら、、、、。」
ポロポロと涙をこぼしながら、悠莉はぎゅっとスカートを握りしめた。
「私の事はやっぱり愛してなかったって、、ならない?」
「ならないよ。」
安心させる為にも、自分に言い聞かせる為にもハッキリとこたえた。
「でも、、不安にさせるだろうし、不快になるかもしれない、、。悠が絶対反対なら、もう2度とこの事は口にしない。」
今の愛する人を失ってまで追えない過去。
けじめをつけめないと。
悠莉の返事があるまで黙って待っていれば、彼女は立ち上がり抱きついた。
不安なのか、体か震えている。
「約束して、、思い出しても私の事愛してるって。」
「悠、、、。約束する、愛してる。」
我慢させてしまっている。
そうまでして思い出すべきことなのか。
いや、もう白黒ハッキリさせる時が来たのだ。
十分に、、、私は逃げまわった。
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