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次の休み、段ボールが2つ届いた。
お兄さんに連絡したところ、すぐに手配し送ってくれたとのこと。
ガムテープにはがした跡はなく、その前で生気を無くした目で恵は座り込んでいた。
「私が、あけようか?」
背中を擦り、提案してみたが恵は顔を横にふった。
テープに手をかける。その動きが小刻みに震えているのは、すぐに分かった。
ゆっくり開けられた中身は、アルバムが多かった。
ジュエリーボックスには、ネックレスや指輪が綺麗に並んである。几帳面な性格だったのだろう。
そして、機種が古い携帯が2台。1台は画面がぐちゃぐちゃに割れており、ジップロップに保管されていた。
きっと、彼女が事故の当時まで持っていたものだろう。
「これが、、美砂、、、。やっとハッキリ顔が見れた、、、。」
思い出したではなく、見れた。
優しそうに笑い、腕を組む二人。正直、当時でいえば29才であろうこの人が交際経験0とは思えない美人だった。
長く緩やかなパーマがかかった髪、大きな目、形の整った高い鼻。どこかハーフにも見える。
無事な方の携帯を充電すると、恵は両手で何かを持ち、じっとそれを見つめた。
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