女神の正体

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夏菜子は南と個室に入り、先に会っていた。 南は恵の上司で、夏菜子とも旧友の仲。 「思い出す日がくるかもとは思っていたけど、まさか思い出したいと言ってくるとはねぇ。」 「ほんと。私も驚いた。」 「せめて、、、1人目の奴のこと忘れたら良かったのにな、、、。」 「皮肉よね、、幸せな記憶の方を忘れてしまうなんて。」 散々恵を苦しめ、泣かせ、傷つけた女の方を忘れさせたかった。 夏菜子は何度もそれを悔やんだ。 「しかも、彼女も紹介されるなんて。」 「だからでしょうね。きっと、また良い子と出逢えたのよ。」 カランと烏龍茶の氷が鳴り、静かな空間に響いた。 すると、待ち合わせより10分早く二人が到着。 少し緊張した顔で挨拶する恋人に、夏菜子も南も本能的に察したものがあった。 「すみません、お呼びだしして。」 「いいよいいよ。あの頃を知ってる人は限られてるから。何でも協力する。」 恵から美砂の兄から受け取った荷物のアルバムや携帯に残された動画の話を聞き、大体のどこにいったかの場所などを聞かれた。 どうやら写真を見て顔は認識できたが、思い出すという事はまだ出来てないようだ。 「悠莉ちゃん、ノンケでしょ。」 「あ、、はい。恵さんとが初めてのお付き合いです。」 「そうだと思った。美砂ちゃんもそうだったもの。」 自身もビアンだからこそ、わかる雰囲気だった。 恵にはそういう人を惹き付ける何かがあるのだろう。ノンケと恋人になる、3人ともそうだとはこの世界では確率がかなり低い。 恋愛出来る人、同族を探し、まずそこからスタートさせる。 その基本を恵はしたことがない。 「あの、美砂は確か私をかくまうのに協力してくれたのが接点でしたよね?」 「かくまう?」 「そうそう。恵の彼女の暴力が酷くて、右目が失明しそうになっててね。問い詰めて白状させてから、美砂ちゃんに預けたの。当時、一人暮らししてたの美砂ちゃんだけだったから。」 じっと恵を見る悠莉に、夏菜子は助け船をだした。 「恵もその頃の事は曖昧な点が多いと思う。美砂が関わってきてるから。」
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