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そんな幼稚な行動の意味を、相手は知っているのかもしれない。
週に1回ほどの昼間のデートを重ねていくうちに、相原は強く思った。
が、止める事が出来なかった。
過去の押し込められた気持ちが爆発したかのように、三嶋に対しての我が儘が駄々漏れていく。
「映画、面白くなかった。」
「そっか。どういうのが好き?今やってるので見たいのはない?」
「、、、、ない。」
「んー、なら他の映画館覗いてみようか。」
映画なんて何でもよかった。
それなのに面倒くさらずに意見を聞いてこようとする三嶋は、まるで保護者のようだ。
「全然恋人らしくないから、手を握ってよ。」
「これでいい?」
いつでも振り払えそうな力で握られた手に苛つきを覚え、力強く指を絡めて握り直せば三嶋は目を細めて笑った。
少しは恥ずかしがったり、嫌がったり、悪態をつくなりすればいいのに、と相原は思うが、反面心は温かくなる。
受け入れて貰える喜びがじわじわと身体に侵食していくのを感じた。
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