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 バッグに雛ガラスと餌を入れると、外に出た。 「晴れてて良かった」  空を見上げ、眩しさに目の奥が痛くなった。  グッと眉間に力が入る。 「とりあえず、撮っておくか」  今日一番初めに見た空にスマホを向けるとシャッターボタンを押した。  スマホの画面の大きさに切り取られた空は、小さな白い雲と青い空。新学期を迎えるまでの春休みのこの時期の清々しい青さだ。今まで晴れてるなーとか、曇りかーとかしか空なんて見てなかったからな。こうして画面に収まった空を見ると、案外いいかもと思った。  カバンの口にスマホをかざし「これどうだ? なかなかキレイだろう」と声をかける。 「ギュルルー!」  少し青みがかった黒い瞳がこちらをジッと見上げた。  桜……咲いてるとこないかな? 青い空と桜なんてどうだろう?  まだ咲いていそうな場所を目指して自転車を走らせる。
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