朱莉、かまぼこで餌付けされる

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***** 「ほぇ~」  青い空に向かって聳え立つ荘厳な外観に思わずため息が漏れた。  鮫島さんに指定されたホテルである。  約束の時間を五分ほど過ぎてしまったけど何とか間に合った。いや、間に合ってはいないけど、今日の今日の呼び出しということも考えれば許容範囲だろう、うん。  それにしても高級そうなこのホテル、一泊いくらするんだろう? きっと、ウン万円は下らないよね。  あれ? 私、場所間違えたか?  こんなところで食事なんて、豪華すぎる……!  念のためスマホを取り出して鮫島さんから送られてきた地図を確認してみると。  間違いない。ちゃんとこのホテルの名前が書いてある。  はっ!  さては、ケーキバイキングか!?  最近は結構な老舗ホテルでも、そういうサービスやってるもんね。  やったぁ!  こんな高級ホテルで出てくるケーキってどんなんだろう?  わくわく。  これは否が応でも期待が高まりますぞ。  鮫島さんと一緒だと、いつも期待が高まっちゃうよね。おもに食に関して。  さすがプロ。さすが専務。さすが人気ユーチューバー。  あぁ、再会できて良かった……!  ふんふんふん♪  ヤバ、嬉しすぎて小躍りしちゃった。  クローゼットの奥から引っ張りだしてきた春物のスカートがひらひらと揺れている。  ミントグリーンのフレアスカート。  へへ、春っぽいでしょ?  しかもこのスカート、色がキレイなだけでなく、サイドにはゴムが仕込まれているため、多少のウエストの増減にはびくともしないのである。  トップスにはオフホワイトのキレイめシャツを合わせてみた。胸元に大きなリボンタイが付いていて、可愛さと上品さすを演出してくれている。さらにこのリボンは目線を上に向ける効果があるから、ちょっとくらいお腹が膨らんだとしても、うまくごまかしてくれる効果が期待できる。  なんということでしょう。  ()()()かつバイキングにうってつけの装いじゃないですか!  ふんふんふん♪ 「堀ノ内(ほりのうち)さーん」  うむ、聞き覚えのある声。  鼻歌を止めて声のした方に顔を向けると、鮫島さんがホテルの中からこっちに向かって走ってくるのが見えた。
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