消えて‥‥‥いる?!

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消えて‥‥‥いる?!

「おーい、相馬(そうま)! 写真出来たぞっ」  そう言って俺の目の前に、写真の束を無造作に放り投げてきたのは、同じ大学サークルの同期生、佐久真(さくま)だ。  一週間前、俺は佐久真を含むサークル仲間五人でファイブドラゴンスキー場に行った。これはその時に撮った写真だ。  余談だが、サークルは『漫画同好会』であり、スキーとは無関係だ。  現地に着く前に立ち寄ったコンビニで、佐久真は安物のインスタントカメラを購入した。こんなもの、まだ存在するのかと感心してしまったが、観光地ともなると結構置いてあるものらしい。 「そんなもん、これで良くね?」  俺はポケットからスマホを取り出しそう言ったのだが、佐久真はやれやれと言った表情で首を小さく横に振った。 「俺は先日、スマホを水没させて、これまでの思い出を全て無にしてしまっただろ。だからこれからはちゃんと形に残そうかなと思うんだ」  だったらせめてデジカメ買っておけよと思ったが、まあ本人の好きにさせておこうと、それ以上のツッコミはやめた。  しかししかし、これはこれでサークル仲間には評判が良かった。そのレトロ感にみんな面白がって、佐久真のカメラの前でポーズを取ったりしてノリノリだった。  コンビニを出てすぐに六枚、車中で八枚、現地の駐車場で九枚、二十四枚撮りのカメラは、スキー場に乗り込む前にすでにあと一枚しか写せなくなっていた。 「うおっ!? あと一枚じゃん」  面白がって撮影していた佐久真も、ようやくその事に気が付いた。  せめて、最後の一枚は全員でと、佐久真はスキー場内に入ると、全員をロッジの前に立たせ、近くを歩いていた赤の他人に撮影をお願いした。  結局、記念らしい記念写真は、これ一枚となってしまった。  ところが、この最後の一枚が、とんでもない代物だったのだ。
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