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金井の遺体は忠野が背負い、中川の遺体は羽織りに包み長が方から担いだ。
「金井さんのライフルは?」
島田がライフルとガンベルトを持って言った。
「借りた物だそうだ。持って行こう」
忠野が言った。
来た草原を来た時と同じように帰るが、もう来た時のあの胸が詰まる様な緊張感はない物の、だからと言って晴れ晴れした物もない。疲れもあるが、そればかりではない。
勝利と引き換えの金井の死。そして、化物の正体を知った事によるショック。
由美子はそんな事を考えながら、ふと後を振り返る。遠くにあの森が見えた。
トンネルの前まで来ると忠野は言った。
「もう少しだ。頑張ろう。きっと既に警察隊も着いてる」
トンネルをまた慎重に通り抜け、ドアを出る。
そして鍵を閉めると長が言った。
「此処は後日来て、今度はワシが完全に閉じる。もう何も出て来ん様にな。ーーん!?」
「どうしたんですか?」
「そんな、バカな!? どういう事だ?」
長の顔色が変わる。
「あの? いったい?」
「とにかく学校へ急ぐ。一旦金井と先生の遺体は、此処へ置いて行く。ワシは先に行っとる!!」
長はそう言うと、一目散に走り出した。
「ああっ!? ちょっと、長っ!!?」
島田が叫ぶが、長は止まらず走り去った。
皆も急いで学校に向かう。
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