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けれど、家政夫の正体が義兄である事は宗介にはまだ内緒で。聖悠は宏鷹に早めに言うように説得していたが、遅かったようだ。
「やっぱり知らなかったのは僕だけですか……じゃあ本当にあの人が……」
「まぁ……そういう事になるな。……大丈夫か?」
「大丈夫な訳ないです……行方不明で心配してたのに、まさか普通に家に居たなんて。しかも金髪の家政夫になってるなんて……」
幼い頃と違い過ぎる義兄の姿に、宗介は困惑していた。思い描いていた理想の姿と掛け離れていたのか、ショックも大きいようだ。
「俺は金髪のあいつも悪くないとは思うけどな」
「……あの人は金髪にしてもおかしくないような環境に居たんですか?」
「グレた時期もあったからな。けど、年月経てば誰だって変わるぞ? お前等だって昔から見れば、変わっただろ?」
「それは……」
思い当たる事があって黙りこくった宗介に、聖悠は笑い掛けた。
「誰だって変わるって。とりあえず……二人からちゃんと話聞きたいだろ? ちょっと待っててな」
「何を……」
ポケットからスマホを取り出し、親指でスピーディーに画面をタップして耳に宛てた聖悠。
まさか、と見上げた宗介の目には、今まで一緒に居た聖悠とは思えない別の姿が映し出された。
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