家族のカタチ

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 何とも擽ったい、甘い空気が二人を包んでいた。 「あいつ等にはもう少し内緒に……」  慶介の事を思い出したのか、様子見してから二人に伝えようと思った聖悠。しかし、視線が宗介じゃない方を見ていた。  宗介が振り返ると、放心状態の慶介と宏鷹がこちらを見ていた。  甘ったるい二人の秘密は見事に砕け散り、しばらく四人の間に気まずい空気が流れた。  ─ ──────  とある休日。四人は桐山家の開かずの扉前に居た。宗介と慶介の顔は強張り、そんな二人を心配そうに聖悠と宏鷹が見守っていた。 「本当に大丈夫なのか? 俺のアパート取り壊し決まったから少しの間泊めて欲しいって言っただけなのに……心の準備出来てないんじゃないか?」 「大丈夫です……多分だけど……」  宗介は自信無さげに聖悠へ返事した。  この部屋を目の前にすると恐怖で苦しくなるが、決意したのだ。  聖悠が泊めて欲しいと頼ってきた時、良い機会だと家族会議した。この部屋を悲しい記憶そのままで残しておくのは、宗介のトラウマ克服には悪影響だと。  だからこの部屋は、新しい家族の一人と一匹の部屋にすると決めたのだ。  その為、これから大掃除するのだ。壁紙、絨毯、カーテン、家具。全部を捨てて、総取っ替えする。
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