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乱れそうになる呼吸を深呼吸で整え、宗介は腹を据えた。
「大丈夫……開けて」
「……わかった」
慶介は扉を開けた。カーテンが閉められ、どんよりと暗い部屋に三人は足を進める。宗介もゆっくりと後に続いた。宗介がこの部屋を見たのは七年ぶりだ。
小学生の頃の宏鷹の持ち物が、無惨な状態で残されていた。それを手に取ると四人はどんどんごみ袋に入れていく。
双子と宏鷹は心に残った嫌な記憶も、全て捨て去っていった。
床にあった細かい物を捨てると、宗介はカーテンを取り外して窓を開けた。閉めきっていた空間に気持ちの良い風が入ってくる。
この部屋の窓で見る空が、こんなにも綺麗だったのかと、宗介は初めて気付いた。
「良い眺めだな」
「そうですね……」
隣に立つ聖悠と宗介を祝福する様に、明るい光が部屋の中に差し込んだ。
四人と一匹の新しい家族を築く為の大掃除は夜まで続き、終わる頃には部屋から明るい声が漏れていた。
end.
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