其の肆 歳下の男の子

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早々に話を切り上げて私は席を立った。 「今日はありがとう。じゃあ──」 置かれていたレシートを手にして立ち去ろうとすると 「一緒に帰ろうよ」 「え」 「俺、もう用事無くなったし家に帰るからさ」 「……」 「同じ方向だしいいよね」 「……」 此処で別れることが出来ると思っていた安堵感が焦燥感に変わった。 (本当にもう……) 大和くんとは会わない時は全くといって会わない。 会うタイミングがズレているから顔を合わせる機会は少なかったのだけれど、その分こうやって一度会ってしまうと中々離れられないという厄介な事態を招く。 今に始まったことではないので内心嫌だと思っても何を言っても食い下がって来るだろうと知っているのでそのまま大和くんと一緒にお店を出た。 私と弥ノ助さんが住む自宅と大和くんが住む家は丁度【ときわや】を挟んで其々徒歩10分程度の距離にある。 なのでかなり近くまで大和くんと一緒にいる羽目になる。 デパート近くの停留所からバスに乗って30分ほど。車内では離れて座っていたおかげで無駄なお喋りをせずに済んだ。 自宅から一番近いバス停で降りた私たちはしばらく無言で歩いていた。
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