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初めて見たはずなのに何故か彼女に対して『懐かしい』と思ってしまったことに戸惑った。
それを機に俺は彼女のことが気になって仕方がなくなった。
ひとつ上の学年だから直接接することもなく、ただ遠目から彼女を眺めるばかりだった。
その内彼女は先に小学校を卒業して中学生になった。
その後を追うように一年後俺も中学校に上がり、再び彼女を目で追う日々を過ごすことになる。
一年ぶりに目にした彼女は益々綺麗になっていて俺はすっかり彼女の虜になっていた。
(……言ってしまおうか)
自分の中に芽生えた気持ちを彼女に伝えようかどうか迷った。
だけど他の女子には抱いたことがない【恥ずかしい】という感情が俺を臆病にした。
しかしその頃になると俺は彼女に現れたある変化に気が付いた。
(あれは──)
さり気なく彼女に近づき何度も確認した。確認してそして愕然とした。
それは彼女が弥ノ助さんのものだという印だった。
(そんな……噓だろう?!)
何かの見間違いだと何度も自分に言い聞かせた。
偶然、たまたま彼女にもその印があって、まさかそれが【ときわや】に関連するものだとは信じられなかった。
──信じたく……なかった
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