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彼女の中からいとも簡単に俺は追い出されて代わりに彼女の全てを埋め尽くしたのは弥ノ助さんだと感じた時は気が狂いそうだった。
恐らくその時にはもう確実に俺の負けは決まっていた。
だけどそこで諦められないほどに俺は彼女のことが欲しくて欲しくて堪らなかった。
好きだから──好きだからこそその想いの反対の態度で彼女の心に中に入り込もうとした。
彼女の嫌がるような言葉、話題、話、接触──例えそれらが裏目に出ようとももうそうすることでしか俺は彼女の心の中に居座ることが出来なかった。
──まぁ、結果は目に見えて明らかだったが。
「ねぇ」
「……」
「ねぇ、大和」
「……」
「大和ったら!」
「──え」
強く揺さぶられて我に返った。目の前には俺に跨っている女友だちがいた。
「もう、こういう時にボーッとするの止めてっていつも言っているでしょう」
「……うん」
「なぁに、また例の彼女のこと考えていたの?」
「……」
「はぁ──…もういい」
そういって俺の上から退いた女友だちは呆れながらも一切動かない俺の事後処理をしてくれた。
彼女とあの人が一緒にいるのを見た後はいつも後腐れのない女友だちを抱いた。それが心の奥底に巣食うドス黒い欲望を彼女に向かないようにするための回避策だった。
(あーあ……俺、汚過ぎ)
妄想で彼女を穢すだけでは飽き足らずリアルでもどうでもいい女の子を穢している。
本当に最低な人間になってしまったとため息をついた。
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