其の伍 歳上の女の子

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常盤家に籍を連ねる者なら皆が知っている曰く。 ──というかあの祠のおかげで今のこの【ときわや】があるのだ いわば常盤家にとってはありがたい存在であるあの祠の謂れを知っていなければ罰が当たるとさえ思われている。 だから古くても不気味でも令和の時代になってもあぁやって常盤家本家の庭の隅に置かれ続けている。 「……」 決して口に出しては言わないけれど……それでも気が緩むと思ってしまう。 (あんなのなければ──)と。 もっともあの祠が無かったら今の【ときわや】も見かけが若いままの弥ノ助さんも、もしかしたら俺も──そして彼女すらこの世に存在していなかったかもしれない。 「っ!」 少しでもそんなことを考えると背筋が凍るほどにゾッとする。 そうしてすぐに思い知らされる。そんな不届きなことを考えてごめんなさい! と。 そう心の中で謝罪すると俺は祠の前まで近寄りしゃがみ込んで手を合わせた。 今、この時点でこの中にいるのかどうかも分からない主に対して心からの謝罪と共に俺が彼女に抱き続ける卑しい思慕をどうか見て見ぬ振りして欲しいと願った。
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